上陸拒否になる人(日本に来られない人)

先日の記事で、日本に長期間住むビザを持っている外国人がどんなことをしたら退去強制になるのかを見てみました。
そこで今回は、退去強制になった外国人が日本に再び来ることができるのか、できないとしたらずっと来ることができないのか、いつか来られるなら、何年経てば来られるのかを見てみたいと思います。

また、退去強制を免れた場合でも上陸拒否にあたる場合があるので、そこも合わせて見てみます。

まずは、過去に退去強制になった人が再度日本に来られるのか、そして来られるとしたら何年待てばいいのかを一覧にしてみました。

なお、感染症、精神疾患、貧困で公共の負担になる可能性のある人については省略します。
また、前回の退去強制事由で省略したテロや日本政府の転覆を企てる団体に入っていたとか、国際約束関係で・・というケースも省略します。

 

退去強制になった理由

上陸拒否年数

1

いつわりその他不正な手段で上陸許可を得ていたことが判明し、ビザ取消になって退去強制になった人

第5条九号ロ

5年

リピーター10年

2

活動系のビザ(永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者以外のビザ)の人で、ビザに合致した活動をしていなかった、または合致しない活動をしていてしようとしていたためにビザ取消になって退去強制になった人 第5条九号ロ

5年

リピーター10年

3

「2」の人に対し、退去強制にせず出国までの時間を与えたにもかかわらず、期限までに出国しなかったために退去強制になった人 第5条九号ロ

5年

リピーター10年

4

入管への申請で偽造変造文書を作成・使用したり、外国人に偽変造文書を提供したり、偽変造文書での申請をそそのかしたり、手伝ったりしたために退去強制になった人 第5条九号ロ

5年

リピーター10年

5

外国人に以下のような不法就労をさせたり、手伝ったり、そそのかしたりしたために退去強制になった人 第5条九号ロ

 イ ビザに適合しない仕事させたり、仕事ができないビザの人やオーバーステイ・不法入国・不法上陸でビザがない人を雇う
 ロ 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置くこと。
 ハ 外国人に不法就労活動をさせる行為やロに規定する行為に関しあっせんする

5年

リピーター10年

6

在留カードを偽変造、偽変造したものを他人に提供、偽変造したものを受け取る、偽変造したものを所持する、偽変造のための設備や材料の準備、他人名義の在留カードの所持、自分名義の在留カードを他人に貸与・譲渡などをしたために退去強制になった人 第5条九号ロ

5年

リピーター10年

7

ビザに適合しない活動を専らしていたことが明らかと入管に認定されて退去強制になった人 第5条九号ロ

5年

リピーター10年

8

人身取引きを行った人、または人身取引きをそそのかしたり、手伝ったりしたために退去強制になった人 第5条九号ロ

5年

リピーター10年

9

以下の旅券法違反により刑に処せられたために退去強制になった人 第5条九号ロ

 ・パスポートの偽変造
 ・他人名義のパスポートの借用、使用
 ・他人へのパスポートの貸与、譲渡など

5年

リピーター10年

10

集団密航者を入国させたり、集団密航者の入国に関与して刑に処せられたために退去強制になった人 第5条九号ロ

5年

リピーター10年

11

不法入国・上陸者をかくまったり逃走を助けたりして刑に処せられたために退去強制になった人 第5条九号ロ

5年

リピーター10年

12

ビザに適合しない活動で報酬を得ていたために、禁錮以上の刑に処せられために退去強制になった人 第5条九号ロ

5年

リピーター10年

13

未成年の人で、長期3年を超える懲役又は禁錮に処せられて退去強制になった人 第5条九号ロ

5年

リピーター10年

14

薬物関連の法律に違反し、有罪判決を受けたために退去強制になった人

入管法5条五号 

無期限

15

無期または1年を超える懲役、もしくは禁固に処せられために退去強制になった人(執行猶予を除く)

※上陸拒否事由はより厳しく、ここで退去要請を免れても以下に該当すれば上陸拒否になります

一年以上の懲役もしくは禁錮、またはこれに相当する刑に処せられた人(政治犯は除く)

5条四号

無期限

16

売春またはその周旋、勧誘、その場所の提供その他売春に直接に関係がある業務に従事したために退去強制になった人(人身売買の被害者は除く) 入管法5条七号

無期限

17

他の外国人に不法入国・不法上陸を勧めたり、協力したり、そそのかしたりしために退去強制になった人

第5条九号ロ

5年

リピーター10年

18

◎活動系のビザ(永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者以外のビザ)の人で、以下に違反し懲役または禁錮に処せられたために退去強制になった人(第5条九号ロ)/判決が確定する前に出国していた人も同じ(第5条九号の二)

・刑法第2編12章(住居を侵す罪)
・刑法第2編16章(通貨偽造の罪)
・刑法第2編17章(文書偽造の罪)
・刑法第2編18章(有価証券偽造及び支払用カード電磁的記録に関する罪)
・刑法第2編19章(印章偽造の罪)
・刑法第2編23章(賭博及び富くじに関する罪)
・刑法第2編26章(殺人の罪)
・刑法第2編27章(傷害の罪)
・刑法第2編31章(逮捕及び監禁の罪)
・刑法第2編33章(略取、誘拐及び人身売買の罪)
・刑法第2編36章(窃盗及び強盗の罪)
・刑法第2編37章(詐欺及び恐喝の罪)もしくは第39章(盗品等に関する罪)の罪
・暴力行為等処罰に関する法律第1条、第1条ノ2もしくは3(刑法第222条または261条に係る部分を除く)の罪
・盗犯等の防止および処分に関する法律の罪
・特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律15条もしくは16条の罪
・自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条もしくは第六条第1項の罪

5年

リピーター10年

19

以下により懲役刑に処せられたために退去強制になった人 第5条九号ロ

・虚偽の住居地の届出をした
・在留カードの住居地以外の記載事項変更について虚偽の届出をした
・所属機関の届出や配偶者の届出で虚偽の届出をした

5年

リピーター10年

20

在留カードの受け取りや提示義務に違反して懲役に処せられたために退去強制になった人 第5条九号ロ

5年

リピーター10年

21

外国籍への帰化や日本で生まれた外国籍の子どもで、60日以内に在留資格の取得手続きをしていないために退去強制になった人 第5条九号ロ

5年

リピーター10年

22

難民認定を受け、後に虚偽の手段で認定を受けたことが発覚し、難民認定が取り消されたために退去強制になった人 第5条九号ロ

5年

リピーター10年

 

上記で「上陸拒否期間」が「5年」であれば日本を出国してから5年間は日本に来ることができません。リピーターとは、過去に退去強制になったり、出国命令制度で出国したことがある人です。
「無期限」は「永久的に」と言われることもあり、人道的に配慮すべき事情がない限り二度と日本に来ることはできないと思っていいでしょう。

上記表は「退去強制」になって上陸拒否になる人のケースですが、「15」のように退去強制にならなくても一度日本を出国したら上陸拒否にあたってしまうケースもあります。

上陸拒否事由:【1年以上の懲役もしくは禁錮、またはこれに相当する刑に処せられた人】

退去強制事由:【無期または1年を超える懲役、もしくは禁固に処せられた人(執行猶予を除く)

 

退去強制は1年を【超える】禁固・懲役なので、【懲役1年】の人は退去強制になりません。
また、カッコ書きにあるように執行猶予がつけば退去強制にはならないので、【懲役2年・執行猶予3年】でも退去強制にはなりません。

しかし、例えば【懲役1年】で退去強制を免れた人が、何か用事があって日本から出国した場合、この人は上陸拒否事由(1年以上の懲役)にあたってしまうので、日本に入れない可能性があります。また、【懲役2年・執行猶予3年】で退去強制を免れた場合でも、上陸拒否は執行猶予があっても対象になるので、やはり日本に戻ってくることはできないので注意が必要です。
実際上は、身分系ビザ(永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者)の人であれば「15」で退去強制にあたっても、人道的に配慮すべき事情がある場合、在留特別許可で日本に留まれることがあります。しかし、せっかく特別にビザをもらっても一度出国したら日本に戻れないというのでは意味がないので、こういった人たちの多くは特例的に上陸拒否も免除されています(上陸拒否の特例/本人のパスポートにその旨書いた紙が付けられます)(少し古い写真なので、書式は変わっているかもしれません)

しかし、活動系ビザの人(永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者以外のビザの人)については、「15」で一年以下の懲役だったり、執行猶予が付いた場合でも「17」にあてはまれば退去強制になりますし、「15」にあてはまった場合、身分系ビザの人のように人道的に配慮すべき事情はほぼ認められないので、そもそも「退去強制を免れる」というケースは少ないでしょう。

その他、【退去強制にならなくても陸拒否にはなる人】で多いのは、出国命令制度を使って帰国した人です。先日の記事でも書いた通り、この制度を使って出国した場合、退去強制ではありませんが、1年は上陸拒否となります。

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Author

福島(Fukushima) 竜太(Ryuta)
福島(Fukushima) 竜太(Ryuta)入管手続専門行政書士(Certified Administrative Procedures Legal Specialists/Immigration Consultant)
aroi行政書士事務所 代表行政書士(東京都行政書士会所属)
アジアランゲージセンター(株) 代表取締役
群馬県渋川市出身
大東文化大学国際関係学部(タイ語選択)卒業後、タイ・バンコクに2年間駐在
日本語教師・日本語学校事務(留学ビザ手続担当)を経て2009年10月行政書士登録

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