再入国許可取得をお勧めする理由

6月1日の記事の記事の最後のところで【日本の場合は1年以内に日本に戻る場合は「再入国許可」を取得しなくても同じビザで再入国できる(ビザが失効しない)ため、「再入国許可」を取得する人は少数派です】【ただし、日本でも私は再入国許可取得をお勧めします。】

と書きました。

なぜ、私が日本でも「再入国許可取得」をお勧めするか書きたいと思います。

実は、以前は日本もタイと同じように、外国人がビザ期限内に日本から出国し、同じビザで再入国する場合は、「再入国許可」を取得しなければなりませんでした。取得せずに出国すると有効期限が残っていてもビザは失効してしまい、ビザ取り直し・・在留資格認定証明書(COE)を取得する(日本の場合)ところからやり直さなければなりませんでした。

しかし、2012年7月から「みなし再入国許可」制度というものができました。これは、1年以内(1年以内にビザ期限が来る場合はビザ期限までに)日本に戻る場合は「再入国許可」を取得しなくても同じビザで再入国できる(ビザが失効しない)というもので、有効なパスポートと在留カードを持っている人であれば利用可能というものです。(例外あり)

「みなし再入国許可制度」を使うというと何か事前に準備が必要じゃないかとか思うかもしれませんが、空港などで入手できる再入国出国記録(再入国EDカード)を出国審査の際に出して「一年以内に戻ります」と伝えれば「みなし再入国利用者」として処理してくれます。煩雑な手続きはなく皆さん普通に行っているため、「再入国許可」を取らずに同じビザで出入国を繰り返しているのであれば、「みなし再入国許可」という言葉を意識していなくても、その人は「みなし再入国許可」で出国していると思って間違いありません。

さて、「再入国許可」ですが、こちらは1回ごとに取得が必要なシングルで3000円、1度取得すればビザ期限内(永住者は5年以内)何度でも出入国可能なマルチで6000円かかりますが、「みなし再入国許可」では手数料がかかりません。
また、皆さん大抵日本に仕事や家族など生活基盤があり、1年以上も日本に戻らないなんてことは普通はないので、簡単で費用もかからない「みなし再入国許可」で十分ということで、「再入国許可」を取得する人は少数派となっています。

しかし、1年って、意外と早いですよ。。

上記の通り、「みなし再入国許可」で出国する人の多くは、出国する「その時」は1年も戻らないなんてことは考えていません。ところが、現実には、

2~3か月で帰国しようと思っていたのに、いざ帰国という時に親が入院して離れられなくなってしまった。一生懸命看病しているうちに、気が付いたら1年過ぎていた・・

等々、世の中には不測の事態というものが起こり得ます。
「再入国許可」を取っておけば、永住者なら5年間という時間が与えられます。1年以内にビザ期限が来る人にはあまり意味がないですが、ビザ期限まで1年を超える時間がある場合は、ビザ期限以内で最大5年までの時間が与えられますので、ちょっとやそっとの事情で日本に戻れなくなってビザを失うことはないでしょう。

また、重要な点で、以下のことはあまり知られていません。

「みなし再入国許可」で出国して1年以内に日本に再入国しなかった場合、理由の如何を問わずビザは失効する

「みなし再入国許可」では救済措置は一切ありません。
しかし、「再入国許可」を取得しておけば、例えば本国で病気になったなどの理由で再入国許可期限内に日本に戻れない場合は、現地の日本大使館などで有効期限の延長ができる場合があります。

私が「再入国許可」取得をお勧めする理由、それは上記の通り不測の事態が起こり得る・・これに尽きます。

コロナ禍の今はまさに「不測の事態」と言えます。

以下、実際にあった話です。

日本永住者のとあるタイ人が、自分の子供(同じく日本永住者)を本国(タイ)の親(子供の祖父母)に預けて世話をしてもらっていました。子供は昨年6月に出国し、今年3月に日本に戻る予定だったのですが、コロナ禍で戻れなくなってしまいました。
子供は永住者で昨年6月に出国しているので、一人で飛行機に乗れるのであれば「特段の事情がある」として上陸拒否されない(日本入国できる)のですが、幼い子供が一人で飛行機に乗ってくるわけにいきません。日本にいる親が迎えに行くか、タイで世話をしている祖父母などの大人が一緒に来る必要がありますが、永住権を持っている等特段の事情があるわけではないタイの家族は、コロナで上陸拒否対象であるため、日本に来ることができません。日本の親が迎えに行く場合、4月2日を過ぎているため、迎えに行った親が上陸拒否の対象になる(タイは4月2日以降に日本から出国した場合は、永住権保持者等でも特段の事情は認められない)ので、子供を連れて一緒に日本に戻ってくることはできません。

今後、コロナ禍という事情で特別な救済措置が取られる可能性は否定しませんが、現状のままであれば、(出国後1年以内にタイが上陸拒否対象から外れない限り)この子の永住権は失われることになります。

私としては「やはり再入国許可は取っておくべき」という思いを新たにした出来事でした。

Author

福島(Fukushima) 竜太(Ryuta)
福島(Fukushima) 竜太(Ryuta)入管手続専門行政書士(Certified Administrative Procedures Legal Specialists/Immigration Consultant)
aroi行政書士事務所 代表行政書士(東京都行政書士会所属)
アジアランゲージセンター(株) 代表取締役
群馬県渋川市出身
大東文化大学国際関係学部(タイ語選択)卒業後、タイ・バンコクに2年間駐在
日本語教師・日本語学校事務(留学ビザ手続担当)を経て2009年10月行政書士登録

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