日タイのビザ制度比較(2)~管轄など~

次に管轄です。

タイも日本もビザ(査証)が大使館(外務省)なのは同じです。そして、タイも日本も、空港等での入国の際はイミグレーションの審査を受けて入国します(在タイ日本人やタイに縁のある人の多くはイミグレーションと呼んでいますが、日本の入管も英語でImmigration Bureauで、機能や権限は概ね同じ組織を指しているものと思われますので、本ブログでは「タイのイミグレーション」=「日本における入管」と扱います)

組織内の位置付けとしての違いは、日本の入管は法務省の外局ですが、タイのイミグレーションは国家警察庁の一部署ということです。タイでもビザの期限が来るとイミグレーションに行ってビザの更新をしますので、ビザ(査証)という呼び名や機能はそのままに管轄が外務省から警察へ移る、ということになります。不法入国・不法滞在などの検挙やその後の収容、俗にいう強制退去なども広い意味で警察が担っていることになります。

対して日本は、これまで何度か書いた通り、ビザ(査証)は大使館(外務省)が発給し、空港等で入国の際にビザ(査証)は原則その役割を終え、入管(法務省)管轄のビザ(在留資格)となり、正確な名称含め別物となります。不法入国・不法滞在は警察と入管双方が検挙できますが、両組織は別物で、俗にいう「強制退去」は入管の仕事になります。

次に就労(現地で雇用されて働くケース)との関係です。

タイは前回書いた通り就労には労働許可が必要で、これは労働局(労働省職業斡旋局外国人労働者管理局กระทรวงแรงงาน กรมการจัดหางาน สำนักบริหารแรงงานต่างด้าว)になります。
対して日本は就労の可否もビザ(在留資格)によって決まるので入管となります。

就労を前提にざっくりまとめると、以下となります。

タイの場合

入国前:労働局(労働省)→大使館(外務省)
入国:イミグレーション(警察)
滞在:イミグレーション(警察)
就労:労働局(労働省)

日本の場合

入国前:入管(法務省)→大使館(外務省)
入国:入管(法務省)
滞在:入管(法務省)
就労:入管(法務省)

タイで「入国前:労働局→大使館(外務省)」となっているのは、入国後に労働許可証(ワークパーミット)を取得する前提の場合、事前に雇用予定の会社がタイの労働局で「労働許可申請受理証明หนังสือแจ้งการพิจารณาอนุญาตทำงาน」を取得して本人に渡し、タイ大使館でのビザ申請時に添付したほうがスムーズなため、一般的によく使われるパターンであるためです。が、労働局を飛ばして日本のタイ大使館でビザ申請することも可能です。もちろん、いずれにしても入国後、労働局で労働許可証を取得しなければ働き始めることはできません。
一方、日本で「入国前:入管(法務省)→大使館(外務省)」となっているのは、日本の場合、就労目的ではない場合でも、長期滞在前提で査証申請する場合は、原則、日本大使館での査証申請前に日本の入管に書類を提出して事前審査を受け、許可を得ておく必要がある(入管から在留資格認定証明書(COE)を得て、これを日本大使館での査証申請の際に提出する必要がある)ためです。

タイ含め、このあたりの流れは後日フローを投稿しようと思います。

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Author

福島(Fukushima) 竜太(Ryuta)
福島(Fukushima) 竜太(Ryuta)入管手続専門行政書士(Certified Administrative Procedures Legal Specialists/Immigration Consultant)
aroi行政書士事務所 代表行政書士(東京都行政書士会所属)
アジアランゲージセンター(株) 代表取締役
群馬県渋川市出身
大東文化大学国際関係学部(タイ語選択)卒業後、タイ・バンコクに2年間駐在
日本語教師・日本語学校事務(留学ビザ手続担当)を経て2009年10月行政書士登録

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