日本とタイの外国人に対する制度を比較してみる(1)~合法滞在・就労を証明するもの~
タイのビザ制度は日本とだいぶ異なります。
そもそもタイは、日本のように大使館(外務省)が発給したビザ(査証)と入管(法務省)が付与するビザ(在留資格)という区分けをしていません。
タイは現地の大使館が発給したビザ(査証)で入国し、その査証の期間内は滞在が可能です。仕事をするためには別途ワークパーミット(労働許可証)の取得が必要になりますが、仕事をすることを前提に大使館で取得するビザの種類は決まっている(ほぼ「ノンイミグラントBビザ」)ので、「ノンイミグラントBビザ=就労ビザ」と呼べなくもないと思います。
とはいえ、タイではこのビザだけで仕事はできず、入国後に労働許可証を取得しなければなりませんので、誤解を招かないよう「就労ビザ」という呼び名は回避したいと思います。
上記の通り、タイでは大使館で得たビザ(査証)がそのままタイでの合法的な滞在を証明するものとなりますので、パスポートを携帯していなければ、合法滞在を証明することができないということになります。対して、日本の場合は、長期滞在する外国人に対して入管が発行する「在留カード」が、合法滞在を証明し、在留カードは常時携帯が義務となっています。そして、在留カードがあればパスポートを携帯しなくても良いことになっています(入管法第二十三条)。
※90日以下の短期滞在者には在留カードは発行されないため、パスポートに貼られたシール等で合法滞在を証明→パスポートは常時携帯義務(入管法第二十三条)
仕事をしても良いかどうかの証明については、タイはビザ(査証)だけではそれを証明することはできず、別途「労働許可証」の提示が必要ということになります。対して日本は、ビザ(在留資格)の種類で仕事ができるかどうか、そしてどのような仕事が可能か決まっているため、原則、在留カードのみで仕事をしても良いかどうかも確認できます。
理屈の上では、タイではパスポートと労働許可証を携帯していないと職質を受けた場合などに連行されるリスクがあるということになります。が、現実にはタイで働く外国人の多くは、持ち歩いてもコピーで、それで許されているようです。紛失や盗難のリスクもあるからでしょう。
対して日本は上述の通り、在留カードの常時携帯が義務となっています。(日本では、在留カードなしで働ける外国人は基本いません)
ちなみに日本では職質の際に在留カードを提示できなければ「ちょっと署まで」ということになり、ちゃんとビザを持っていることが確認できるまで帰宅させてもらえませんので、注意が必要です。(私のお客様の中には、確認が取れるまで6時間以上警察署から出られなかったという人もいます。)
なお、現実には不携帯時に職質を受けた際は「確認できるまで帰宅できない」程度のことが多いようですが、法律では在留カードを携帯していなかった場合は20万円以下の罰金(入管法第七十五条の三)で、在留カードの提示に応じなかった場合は1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処せられることがある(入管法第七十五条の二)・・ということで結構重いので、注意が必要です。
Author

- 入管手続専門行政書士(Certified Administrative Procedures Legal Specialists/Immigration Consultant)
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aroi行政書士事務所 代表行政書士(東京都行政書士会所属)
アジアランゲージセンター(株) 代表取締役
群馬県渋川市出身
大東文化大学国際関係学部(タイ語選択)卒業後、タイ・バンコクに2年間駐在
日本語教師・日本語学校事務(留学ビザ手続担当)を経て2009年10月行政書士登録
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