「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で許容される実務研修について
新型コロナの情報に気を取られて気づいていませんでしたが、同業の仲間からの情報で4月に上記タイトルの文書が公開されていたことを知りました。
このブログでも何度か触れてきましたが、「技術・人文知識・国際業務」ビザで働く人は、学術上の素養を背景とする一定水準以上の業務(代表例:システム開発やマーケティング、貿易業務や通訳・翻訳など)に従事することが必要とされており、単純労働と呼ばれる業務には従事できないことになっています。単純労働の代表例として、飲食店での接客や小売店の店頭における販売業務、工場のライン業務等が挙げられており、これらの業務に従事する場合は「技術・人文知識・国際業務」ビザに適合しないとして、許可になりません(「技術・人文知識・国際業務」ビザが取れません)
このあたり、何が「単純」労働かということになると、複雑だったり難易度の高い業務でも「単純労働」とされてしまうことがあるので、一括りに「単純」という言葉を冠していいのかは疑問が残りますが、現状はそういうことになっています。
しかし、「技術・人文知識・国際業務」ビザに適合する業務に従事する予定であっても、会社の事業の全体像を理解するために一通りの業務に触れる必要があったり、事業の中核となる製造やサービスの現場を知らずに業務に従事することは困難という現実があります。このため、研修期間に単純労働に従事することについて、入管当局はこれまでも一定の理解を示していましたが、今回の文書で明確になった形です。
要点は以下3点です。
1、日本人の大卒社員に対しても同じように行う研修であること
2、研修期間が在留期間(ビザの期間ではなく予定されている日本で働く期間)の大半を占めないこと。
※採用から1年間を超えて実務研修に従事する場合は研修計画の提出を求め、実務研修期間の合理性を審査する
3、採用当初に行われる実務研修の他、キャリアステップの一環として契約期間の途中で実施されるような実務研修も同様とする
なお、実務研修期間が設けられている場合は、原則として許可されるビザの期間は1年になります。(実務研修を修了した後「技術・人文知識・国際業務」に該当する活動に移行していることを確認する必要があるため)
ずいぶんクリアになり、対応しやすくなりました。
Author
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aroi行政書士事務所 代表行政書士(東京都行政書士会所属)
アジアランゲージセンター(株) 代表取締役
群馬県渋川市出身
大東文化大学国際関係学部(タイ語選択)卒業後、タイ・バンコクに2年間駐在
日本語教師・日本語学校事務(留学ビザ手続担当)を経て2009年10月行政書士登録
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