永住申請はノーリスク?
時々聞く話で、「永住権の申請して不許可になっても、元のビザは残るからリスクないよ。年数経って(日本人配偶者なら婚姻期間3年・日本在留1年以上等)、3年ビザもらったら、どんどん申請したほうがいい」というのがあります。
確かに、永住申請(正確には「在留資格「永住者」の申請)をして許可がもらえなくても、もともと持っていたビザは、基本そのまま維持されます。これは事実です。
しかし、だからといってリスクがないかと言われると、そうとも言い切れません。
理由は、不許可になるということは「許可できない何らかの理由」があり、その記録が入管のその人に関するデータベースに残されるからです。
以下、私がまだ雇われ行政書士だった頃、実際にあった話です。
ある人から、期間3年の結婚ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)の更新申請の依頼を受けました。書類の内容も本人の言動も特に問題はなく、普通に再度3年ビザがもらえるものと思われる案件でした。
しかし、結果は更新はできたものの期間は1年に短縮。
驚いて入管に理由を聞くと、入管の回答は、
「この人は、前年に自分で永住許可申請をして、不許可になっています。永住不許可の理由は、調査したところ、この人は本国に扶養家族が7人いるとなっているのですが、少なくともこの7人のうち3人は本国の公務員であることがわかりました。つまり虚偽の申告をして税金を免除されていたということです。今回の更新では、この事実がある以上3年の更新は許可できないと判断しました。日本人の配偶者でなければ、更新の許可さえできるかどうかという内容ですよ・・」
本人に結果を伝えると、「やっぱりそうか」と苦笑いしていました。本人もこの結果は予想していたようです。
この件は、ご本人に明らかに問題がありますので「気を付ける」とかそういうレベルの話ではないのですが、ここまで意図的に良くないことをしていなくても、例えば過去にうっかり税金や社会保険料の未納があって放置状態・・ということはあり得ます。
本人はちゃんとしていたけど、配偶者に問題があって、永住申請を機に発覚することもあります。
永住申請をするということは、更新申請の時よりも高いレベルで様々な審査・調査が入るということで、そこで発覚した事実の重さによっては、永住申請が不許可になるだけでなく、それまで有していた3年または5年のビザの期間が短縮されたり、更新が不許可になったりすることもあり得るということです。
自身に身に覚えがない場合でも、税金や社会保険料の加入・納付状況を、配偶者も含めて事前にしっかり確認し、問題があれば解決してから申請をお勧めします。
Author
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aroi行政書士事務所 代表行政書士(東京都行政書士会所属)
アジアランゲージセンター(株) 代表取締役
群馬県渋川市出身
大東文化大学国際関係学部(タイ語選択)卒業後、タイ・バンコクに2年間駐在
日本語教師・日本語学校事務(留学ビザ手続担当)を経て2009年10月行政書士登録
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