離婚したらビザはどうなる?④(日本人の配偶者等・永住者の配偶者等の場合)
ずいぶん更新をさぼっていました。
これからはガンガン更新を・・と言いたいところですが、目の前の業務が立て込んでいたりした場合はどうしても後回しになってしまいます。もし、お待ちくださっている人がいたならすみません。
マイペースでぼちぼち更新しますので、ゆるい感じで見守ってください。
さて、本題。
昨年10月末から、「日本人の配偶者等ビザ」・「永住者の配偶者等ビザ」の人が離婚することになり、かつ、離婚した配偶者との間に子供がいない場合、「どうなれば(どうすれば)定住者ビザへの変更ができるか」の目安について、入管の審査要領と私の経験などを踏まえて書いています。
①一定以上の期間、「正常な婚姻関係・家庭生活」を日本で営んでいたこと
②生活していけるだけの資産又は技能を有すること。
③公的義務を履行していること又は履行が見込まれること
④それまでの在留状況が良好なこと
このうち、①については10月30日、②については11月6日、③については11月24日に書いたので、今回は④について見てみます。
④について
それまでの在留状況が良好なこと
在留状況の【良い・悪い】とはどういうことなのかについては2020年6月22日の記事で全般的なことを書いていますが、今回の場合は特に【結婚→離婚】という流れを受けてのビザ変更なので、婚姻期間中の状況ということになり、よくあるケースの4などが該当します。
なお、上記引用の2020年6月22日記事には「日本人の配偶者等」とだけ書いていますが、「永住者の配偶者等」も同じです。
ここで「在留状況不良」とは通常「日本に入国した時から今に至るまで日本在留」について判断するものです。つまり、過去に日本に来た時の在留状況不良については一度日本から出国すれば(犯罪を除けば)不問になるのが建前です(俗にいう「在留リセット」)。
これは例えば、以前「留学ビザ」で日本に来ていたのに、出席不良のため在留状況不良と判定され、ビザが更新できずに帰国した場合、再度「在留資格認定証明書」の申請をする場合は以前の出席不良は不問にするということです。
しかし、それは理屈の上ではそうなのですが、実際にはいったん日本から出国すれば過去の在留不良の影響がゼロになるかというとそうではありません。
上記の2020年6月22日記事で書いた通り、
のが現実で、これは離婚定住の申請においても同じです。
以前、日本人女性との婚姻期間5年半という人の離婚定住を申請したことがありました。
婚姻期間は5年半ありますし、学齢期の子供が2人いて、養育費も払っているという話でしたし、月に一度ぐらい面接もしているということなので、許可される可能性が高いと考えて申請しました。しかし、結果は不許可。
理由は、この人には過去2回のオーバーステイ歴があり、2回ともオーバーステイ後に日本人と結婚して在留特別許可でビザを得ていたからです。
子供たちの母親との結婚で今のビザを在留特別許可で得ていたことは本人から聞いていましたが、実はその後離婚して一旦帰国。再度観光で来日してオーバーステイし、別の日本人女性と再婚して再び在留特別許可を得ていたことが入管からの不許可理由説明で明かされました。
それでも「子供がいるのに・・」と思われるかもしれませんが、結局養育費を送っていることも面会していることも何ら裏付け資料がありませんでした(彼に用意してくれと言いましたが、持ってきてくれませんでした)。親権・監護権もないまま別の人と再婚していることもあって、子供のために日本に継続在留することの必要性は認められませんでした。
結局この人の不許可理由は、「過去2度にわたるオーバーステイと在留特別許可を得ている。このビザは在留状況の良い人に対して特別な事情に配慮して許可するものであり、このような人に許可することはできない」というものでした。
「入管(日本)をなめるな!」と言葉にはしませんでしたが、そういうことだと思います。担当審査官、相当怒っていると感じました。
私だって、「ちょっと、ちゃんと本当のこと言ってくださいよ!」と思いましたよ・・本人に言ったら、今風に言うと「テヘペロ」みたいな反応されましたけど。
話は戻って、在留状況不良の有無については、今回日本に住み始める前がどうだったか?についても考える必要があるということになります。
で、結論。
日本人の配偶者等ビザ・永住者の配偶者等ビザの人が定住者ビザへの変更にトライする場合、これまで見てきた①~③の基準
①日本での正常な婚姻期間が長く
②きちんと収入等があって生活保護になる可能性も低く
③税金等きちんと納めている人
でも
④日本に居る間、真面目に過ごしていない
と判断されれば許可されない・・ということになります。
では、離婚した日本人の配偶者等ビザ・永住者の配偶者等ビザの人が定住者ビザへの変更は無理だという場合、次にどのような可能性を探ることになるかについて、次回以降に書いてみようと思います。
Author
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aroi行政書士事務所 代表行政書士(東京都行政書士会所属)
アジアランゲージセンター(株) 代表取締役
群馬県渋川市出身
大東文化大学国際関係学部(タイ語選択)卒業後、タイ・バンコクに2年間駐在
日本語教師・日本語学校事務(留学ビザ手続担当)を経て2009年10月行政書士登録
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