就労ビザを持っている外国人、雇ってもいい?

就労ビザについて、よくあるご誤解。

「就労ビザを持っている外国人なら、日本で仕事できる」

「うちの会社で雇ってもいい」

間違いではないのですが、
しかし、ことはそう単純ではありません。

就労ビザは、17種類(2017.8現在)あって、ビザの種類ごとに「仕事の内容」が決まっています。 ※現時点ではこの表にありませんが、「介護」というビザが2017年9月に追加されます

仕事が調理師なら「技能」というビザ、
仕事が通訳者、翻訳者なら「技術・人文知識・国際業務」というビザなどが代表例となります。
(ビザの種類はこちらを参照ください。※「外交」から「技能実習」までが、俗に就労ビザと呼ばれているものです)

なので、「就労ビザを持っている外国人だから、うちで雇っても問題ないですよね?」という質問には即答できません。

その外国人がどの種類の就労ビザを持っているのか、そして雇った後、その外国人がどんな仕事をするのかがわからないと、お答えすることができないのです。

たとえば、

通訳・翻訳者を募集する求人広告を出したところ、日本語ペラペラの外国人が応募してきました。就労ビザを持っていると言うので、在留カードを確認したところ、「技能」という就労ビザを持っていることがわかりました。もともと調理師としてビザをとって日本に来ていたそうです。

この外国人を通訳・翻訳者として「そのまま」雇えるか?

答えはNoです。

技能のビザの人を通訳・翻訳者として「そのまま」雇うことはできません

「そのまま」はダメとはどういうことか?

「技能ビザのまま」では通訳・翻訳者として雇用することはできないということです。

対処法としては、この外国人の「技能」ビザを「技術・人文知識・国際業務」ビザへ変更する申請をし、許可されれば雇うことができます。

ただし、外国人本人の学歴や経歴などもあらためて審査されますので、許可されるかどうかは別の話です。
ここでは極端な例としてあげましたが、実際のところ、調理師と通訳・翻訳者の条件を両方満たせるような人は稀といえます。

なお、許可された場合、その外国人は「技能」のビザを失い、「技術・人文知識・国際業務」のビザを得ることになります。(※ビザはひとりに一つ)

なので、この外国人は以後「そのまま」では調理師の仕事はできなくなります。
後になって「やっぱり私は調理師の仕事のほうが合っていた」と飲食店に転職しようとした場合、この人は今度は「技能」ビザへの変更をしなければなりません。

まとめると、

✔ビザの種類は仕事の内容に当てはまらなければならない。だから、たとえ就労ビザを持っていても雇えるかどうか即断は禁物

✔もし当てはまらない場合は、当てはまるビザをとる(とらせる)必要がある(とれるかどうかは別の話)

・・では、仕事の内容が17種類のビザのどれにも当てはまらない場合はどうなのか?

ひと言でいえば・・ビザはとれません(変更も許可されません)。

残念ですが、その仕事で人を雇いたい場合は、日本人か、外国人なら永住者、日本人や永住者と結婚している人など、就労ビザのルールに縛られない人を雇い入れるしかありません。

就労ビザのルールに縛られない人とは、どんな人なのか?

それは、また次回以降に。

※当サイトでは、特に断りのない限り「在留資格」を「ビザ」として記述しています

Author

福島(Fukushima) 竜太(Ryuta)
福島(Fukushima) 竜太(Ryuta)入管手続専門行政書士(Certified Administrative Procedures Legal Specialists/Immigration Consultant)
aroi行政書士事務所 代表行政書士(東京都行政書士会所属)
アジアランゲージセンター(株) 代表取締役
群馬県渋川市出身
大東文化大学国際関係学部(タイ語選択)卒業後、タイ・バンコクに2年間駐在
日本語教師・日本語学校事務(留学ビザ手続担当)を経て2009年10月行政書士登録