離婚したらビザはどうなる⑥(就労ビザへの変更①)
前回から、「日本人の配偶者等ビザ」「永住者の配偶者等ビザ」の人で、「定住者ビザ(離婚定住)」への変更の条件をクリアできそうもない場合や、もともと「離婚定住」の可能性がない「家族滞在ビザ(就労ビザ外国人と結婚)」の人が離婚する場合、ほかに取り得るビザがないか検討を始めました。
※2021年春の審査要領改定で、家族滞在から定住者ビザへの変更の可能性が示唆されました(明示ではありません)日本での婚姻して居住する年数は10年以上と思われます
そして、このような人の場合については、下記1~3の可能性があること、そして下記のうち1までが前回までの内容でした。
1、日本人の配偶者等ビザ(日本人の実子として)、または定住者(日系3世)の可能性はないか?
2、就労ビザに変更できないか?
3、留学ビザに変更できないか?
2、就労ビザに変更できないか?
3、留学ビザに変更できないか?
今回は「2」の就労ビザの可能性について考えてみます。
ひと口に就労ビザといっても色々ありますが、自分で会社経営をする場合を除けば、原則ビザが取得できる職種で雇用してくれる会社が必要です。
では、ビザが取れる職種は何か・・ビザごとに色々あり、それもすべての職種を網羅することは不可能なのでここでは触れません。
※代表的な職種例はこちらを参照ください→就労ビザがもらえる仕事・もらえない仕事
しかし、いくら良い会社でビザ取得可能な就職先を見つけたところで、そもそも本人が就労ビザを取得し得るキャリアや学歴などを有していなければビザを得ることはできません。
そこで、まずは最も一般的な就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」と「技能」)が取れる本人の条件をざっくりと見てみたいと思います。
1,ビザが取れる職種で一定年数以上の実務経験(職種や国籍国によって異なる)があり、その職歴が証明書等で証明できる
2,大学(短大含む)以上の学歴がある(「技術・人文知識・国際業務」)
3,日本の専門学校以上の学歴がある(専門学校の場合、専門士の称号を得ている)(「技術・人文知識・国際業務」)
上記1~3のいずれかが該当すれば、ビザ種類と経験や学歴に合致した就職先を見つけることで就労ビザを取得できる可能性があります。
☆1について
たとえば、日本へ来る前はタイ料理の調理師として10年以上の経験があった場合、過去に在職した会社・店等が発行する経験(プロの調理師として在職していたこと)を証明する書類を用意できれば、タイ料理店でタイ料理調理師として就職し、「技能」ビザを取得できる可能性があります。
☆2について
大学以上の学歴がある人は、ビザに該当する職種であれば、大学での専攻との関係性は柔軟に審査されますので、ビザに当てはまる様々な職種でビザが取得できる可能性があります(ただし、専攻と職種が無関係で良いというわけではありません)
また、大学卒以上の場合は日本の大学でなくても構いません。(自国の大学でも可)
☆3について
専門学校については、日本の専門学校卒である必要があります。本国の専門学校では認められません。日本の専門学校でも、「専門士」の称号が得られる場合に限ります。
専門学校卒の人の場合に注意しなければならないのは、専門学校卒の人の場合は、専門学校での専攻と業務内容に密接な関係がなければならないことです。このため、ビザが取れる職種、かつ専門学校での専攻と関係の深い職種での就職が条件となります。
離婚時点で上記1~3の条件を満たしていない場合は、自ら事業を立ち上げて経営する経営者のビザ(経営・管理ビザ)か、2019年に新設された特定技能ビザを検討することになります。
しかし、特定技能ビザについては「日本語能力試験」でN4以上、または「国際交流基金日本語基礎テスト」でA2レベル以上、かつ、業界毎に定められた「技能測定試験」に合格する必要があります。しかも、「建設」と「造船・船舶工業」の2分野を除けば5年以上日本に居ることができません。
このため、離婚後も日本に永続的に滞在したいという希望を叶えるビザにはなりにくいことから、ここでは割愛します。
また、ほかにも就労ビザはありますが、現状該当する人は少ないため、ここでは割愛します。
次回は「会社経営者になる」という方法について検討してみます
長くなったので、続きは次回に
Author
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aroi行政書士事務所 代表行政書士(東京都行政書士会所属)
アジアランゲージセンター(株) 代表取締役
群馬県渋川市出身
大東文化大学国際関係学部(タイ語選択)卒業後、タイ・バンコクに2年間駐在
日本語教師・日本語学校事務(留学ビザ手続担当)を経て2009年10月行政書士登録
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