3年ビザが欲しい(定住者編)
今回は【定住者】ビザの人が期間3年をもらいやすくなるポイントを見てみたいと思います。
この【定住者】ビザには、様々なパターンがあります。
例えば、【日系3世】【日本永住者の子供で日本国外で生まれた人】【日本人の配偶者の子供】や【永住者の配偶者の子供】【定住者ビザを持っている人の配偶者】・・など
ビザの名称は一緒でも、どのようなパターンでもらっているかによって、ビザの更新ができなくなったりする理由も変わってきますし、3年ビザや5年ビザをもらう条件も異なってきます。
そこで、私の事務所に多い以下パターンに絞って見てみようと思います。
※イ~トの記号は私が任意に付けたもので、条文番号等とは関係ありません
※「告示〇号」は、元となる法務省告示の規定番号・「告示外」とは告示に規定がないもの
イ.日系3世・日系2世(日本人親が日本国籍離脱後に生まれた人)(告示3号)
ロ.定住者ビザの人と結婚した人(告示5号)
ハ.日系2世(日本人親が日本国籍離脱前に生まれた人)と結婚した人(告示5号)
ニ.日本人の配偶者等ビザの人の子供や永住者の配偶者等ビザの人の子供、定住者ビザの人の子供(結婚前に別の外国人との間に生まれた子供・・俗にいう「連れ子」)(告示6号)
ホ.永住者の子供で、日本国外で生まれた人(告示6号)
ヘ.日本人の子供を監護・養育する人(告示外)
ト.日本人や永住者と離婚・死別した人で、日本で継続在留する特別な事情が認められた人(告示外)
このビザも、先日の【日本人の配偶者】等ビザ同様、ビザ期間として【6か月】があります。しかし6か月ビザは結婚でこのビザをもらうロとハ(告示5号)の人のみで、日本人の配偶者等と同様、【離婚調停中】【どちらかが離婚の意思を明確にしている】【滞在予定期間が6か月以下】・・という例外的なケースです。これを除けば、【定住者】ビザも通常は1年・3年・5年のいずれかです
【定住者】ビザの場合も最初は1年という人が多数なのですが、これももちろん基準があります。そして、6か月を除いて【1年の基準に当たらない】場合に1年が3年に伸びるか、【5年の人が基準を満たせなくなった】場合に5年が3年に短縮されるということも日本人の配偶者等と一緒です。そこで、ここでも1年から3年にステップアップするために乗り越えるべき【1年】の基準を見てみようと思います
①配偶者として在留する者(ロとハ:告示5号)にあっては、家族構成、婚姻期間等婚姻を取りまく諸状況からみて、婚姻および配偶者の身分に基づく生活の継続性を1年に1度確認する必要があるもの
②在留状況からみて、1年に1度その状況を確認する必要があるもの
③滞在期間が6か月を超え1年以内
【日本人の配偶者等】ビザのケースとそっくりです。
違いと言えば、結婚以外でビザをもらう人がいるので②があるぐらいです。そして何をもって【1年に1度確認する必要がある】のか?(→どうなれば【入管が1年に1度確認する必要がなくなる】のか?)もまた、日本人の配偶者等と同様、明確に書かれた資料はありません。
そこで、ここでも私の経験から【1年に1度確認する必要がない】と判断されやすくなるポイントを書いてみます。基本的に結婚によって【定住者】ビザをもらった人は【日本人の配偶者等】ビザの場合と同じですが、まとめて見てみます
A.【定住者】ビザを持っている人と配偶者が日本で同居している(ロとハの場合)
B.【定住者】ビザを持っている子供と扶養する親が日本で同居している(ニとホの場合)
C.【定住者】ビザを持っている親と扶養を受ける子供が日本で同居している(への場合)
D.生活していくのに十分な収入があり、安定している(全部)
E.長期間日本を離れていない(全部)
F.納税義務を果たしている(全部)
G.届出義務を履行している(全部)
H.学齢期の子供がいる場合は、学校に通わせている(子供がビザ保持者の場合は、学校に通っている)(全部)
A.について、3年に伸びるどころではないのは【日本人の配偶者等】ビザと同じです
B.Cについて、いずれの場合も親子がื日本で同居していることが重要です。実際、親(永住権保持者)が自国に長期間一時帰国し、17歳の子供(義務教育終了)が日本で就労していてビザ更新が不許可になった事例があります。このビザにおいて親子の同居・扶養は1年ビザの更新に際しても重要なポイントであり、3年に伸びるかどうかというレベルの話ではありません。
D~Hについては、日本人の配偶者等ビザと同じ考え方となります
最後に、ここでも3年から5年にステップアップするための基準を見てみます。
これもビザをもらうパターンによって異なります。
まずはイ~ホのパターンでビザをもらった人です
①届出義務を履行している
②各種公的義務の履行
③学齢期の子供がいる場合は、学校に通わせている(ビザ保持者が学齢期の子供の場合は、学校に通っている)
④納税義務を果たしている
⑤未成年の者を除き、一定以上の日本語能力がある
⑥家族構成、婚姻期間を取りまく諸状況からみて、婚姻および配偶者の身分に基づく生活の継続が見込まれるもの(婚姻後の同居期間3年以上続いている)
上記の①~④については、【日本人の配偶者等】ビザ同様、5年持っている人がひとつでも欠いたら3年に短縮となります。あいまいな⑥は【日本人の配偶者等】ビザと同じですが、イ~ホの【定住者】ビザでは、⑤で日本語能力を求めている点が異なります。
ここでいう一定以上の日本語能力とは、以下のいずれかを満たしていることで、証明書の提出が求められます。
◎法務大臣が告示で定める日本語教育機関(→留学生の受け入れが可能な日本語学校)で6か月以上日本語教育を受ける
◎日本語能力試験N2合格
◎BJTビジネス日本語能力テスト400点以上
◎日本の学校教育法第1条に規定する学校(幼稚園を除く。)で1年以上の教育を受ける
→日本の小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校のいずれかで1年以上の教育を受ける
未成年者を除く規定ですが、ロとハは結婚でビザをもらう人なので、大人になってから日本に来ていることになります。大学等で日本語をゴリゴリ勉強した人や留学経験をした人ならともかく、普通の人が(特に非漢字圏出身の人が)大人になってから日本に住み始めて、日本語能力試験N2合格やBJTビジネス日本語能力テストのスコア400点をクリアするのは、かなり難しいと思われます。日本の大学や専門学校で学ぶことも選択肢ですが、一定以上の年齢になっている人が何のプランもなく大学や専門学校で勉強するのは時間的にも金銭的にも精神的にも大変です。期間5年を狙うなら、個人的には日本語学校で6か月というのが最も現実的な方法だと思います
次にへとトです。
①届出義務を履行している
②各種公的義務の履行
③学齢期の子供がいる場合は、学校に通わせている(ビザ保持者が学齢期の子供の場合は、学校に通っている)
④納税義務を果たしている
⑤日本に5年以上在留している
①~④は同じですが、【日本人の配偶者等】ビザや【定住者】ビザのイ~ホのパターンの人にあったあいまいな基準も、日本語能力を求める文言もなく、代わりに⑤で「日本在留5年以上」という基準が入っています
特別な事情があって日本に住む必要がある人については、義務を果たしながら安定した生活を営んでいる以上、5年の付与についても比較的緩やかに見ようということと思われます。
個人的には、結婚でビザをもらったロとハの人は、ヘとトの人と一緒の基準でも良いように思いますが・・
定住者は色々なパターンがあるのでややこしいですね
次回は就労ビザについて見てみたいと思います。
Author
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aroi行政書士事務所 代表行政書士(東京都行政書士会所属)
アジアランゲージセンター(株) 代表取締役
群馬県渋川市出身
大東文化大学国際関係学部(タイ語選択)卒業後、タイ・バンコクに2年間駐在
日本語教師・日本語学校事務(留学ビザ手続担当)を経て2009年10月行政書士登録
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