日タイのビザ制度比較(6)~転職したら?~
7月1日に投稿した「日タイのビザ制度比較(5)~タイはビザ変更できない?~」で、日本もタイも「やること」や「目的」に応じてビザが種類分けされていること、そして「やること」や「目的」が変わればそれに適合したビザに切り替えなければならないこと、そしてタイではビザによって必ず出国しなければならないケースがあること、また居ながら変更できる場合でも退職・離婚等してから与えられる時間が非常に短いので、ビザの残り期間を計算しながら事前に準備をする必要があると書きました。
では、「やること」や「目的」は変わらない(ビザの種類は変わらない)ものの、「やること」や「目的」の基礎になる人や会社が変わる場合はどうなのか?
「やること」や「目的」の基礎になる人や会社が変わるというのは、たとえば「就労ビザの人が転職する場合」や「結婚ビザの人が離婚して再婚する場合」などです。
転職のケース:A社との雇用契約に基づいてノンイミグラントBビザ(就労ビザ)を持っている人が、A社を辞めてB社で同じ仕事をする場合
離婚・再婚のケース:Aさんと結婚してノンイミグラントOビザ(結婚ビザ)を持っている人が、Aさんと離婚してBさんと再婚する場合
日本もタイも、転職のケースと離婚・再婚のケースで差異があるので、まずは転職のケースから見てみたいと思います。
日本の場合、所属していたA社(A社との契約に基づいてビザを取得)を辞めた後でも、ビザ期限が残っていれば、そのまま日本に滞在し続けることができます。そしてビザ申請期(ビザ期限の3か月前~ビザ期限日)が来たら、今度はB社の所属ということでビザの更新をします。A社を辞めた後、すぐに転職先が決まらなかったり入社が遅れてしまった場合でもビザ期限内であればオーバーステイになりませんし、3か月以内であればビザで認められていない仕事でもしない限り、在留状況不良になる可能性もほとんどなく、日本に滞在し続けてビザ更新をすることができます。
就労ビザの場合、日本はビザ期限までを前提に、3か月の求職活動をする時間的猶予があるとも言えます。
また、日本では会社を辞めた後、帰国準備はもちろん、仕事をしなければ日本一周旅行をしていても問題ありません。「仕事を辞めるまでは忙しくて、せっかく日本にいるのにどこにも旅行に行けなかったなあ・・まだビザ残っているから、帰国する前に1か月ぐらいかけて日本国内を旅行しよう」というのもありです。
対してタイは、ビザと労働許可証(ワークパーミット)を取得したA社を退職する場合、退職前にイミグレーションに行って延長手続きしておかなければ退職と同時にオーバーステイとなり、しかも延長で得られるビザ期間(猶予期間)はわずか7日間です。必ずしも出国しなくても変更は可能なのですが、この7日の間にワークパーミットの更新をした上で新しい会社に基づいた就労ビザの更新をしなければなりません。7日以内に書類が整わない場合は、やはり一度出国せざるを得なくなります。
タイでは、退職後に求職活動をする時間的余裕はないと言っても良いでしょう。転職するなら、「日タイのビザ制度比較(5)~タイはビザ変更できない?~」で書いた通り、転職後の7日間で手続きが完了できるよう退職前にすべての準備をしておかないと、手続きが間に合わなくなって一度出国してビザ取り直しをせざるを得なくなります。
また、タイでは帰国準備するにしても旅行するにしても、7日で終わらせなければなりません。個人的には、(転職しないなら)さっさと帰国して査証免除30日で再訪し、のんびり帰国準備や旅行をしたほうが良いように思います。
次に、結婚ビザの人が離婚してそのまま再婚する場合はどうなるのか?ですが、
このテーマは次回に書きたいと思います。
Author
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aroi行政書士事務所 代表行政書士(東京都行政書士会所属)
アジアランゲージセンター(株) 代表取締役
群馬県渋川市出身
大東文化大学国際関係学部(タイ語選択)卒業後、タイ・バンコクに2年間駐在
日本語教師・日本語学校事務(留学ビザ手続担当)を経て2009年10月行政書士登録
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