日本とタイの外国人に対する制度を比較してみる(序)
以前の記事で、日本のビザ(査証)とビザ(在留資格)の違いを書いたことがありました。
偉そうに書いていますが、実は私自身が過去(行政書士になるより遥か前)はこのことを知らず、大使館でビザ(査証)をとったら、その時点で入国可能で、査証に書いてある期間は滞在できるものだと思っていました。そして、査証が「就労ビザ」とか「結婚ビザ」と分類されていて、それによって仕事ができたりできなかったりするのだと思っていました。(全てイメージからの思い込みです)
私の無知はタイのビザ制度についても同様で、1992年から2年間タイに駐在したのですが、全部会社にお任せ状態。とりあえず入国前にタイ大使館でノンイミグラントビザと呼ばれるビザを取得したのは覚えていますが、タイに行った後は、会社の通訳翻訳のタイ人スタッフにどこぞに連れて行かれ(弁護士事務所だったのか労働局だったのか・・)、しばらくすると労働許可証が手渡されました。パスポートサイズの冊子で、開くと手書きながらも活字のようなきれいな文字がびっしり書き込まれていましたが、読む力がないのはもちろん、何が書いてあるのか知ろうともしませんでした。今思えば、惜しいことをしたと思います。
ただ、漠然と分かったのは、タイは就労ビザとか結婚ビザというビザの種類ではなく、労働許可の制度によってタイで働く外国人を管理しているのだな、ということでした。
さて、先日投稿したとおり、弊所ではタイ国弁護士をパートナーに迎え、タイ側の法制度についても信頼できる情報を得られるようになりました。
そこで、私自身も関心のある「タイのビザ制度」について、不定期ながら、今後パートナーから得た情報をこちらに(私の備忘録も兼ねて)投稿していくことにしました。
当たり前のことですが、外国人を自国に「どのように受け入れるか(受け入れないのか)」「就労を認めるのか(認めるとしたら条件は?)」「どれぐらい居ても良いことにするのか」などは、国によって違います。
これまで、私は縁あってタイ以外に、アメリカやオーストラリアのビザ制度や対外国人施策について話を聞く機会がありました(業務対応はしていません)。そのたびに、それまで私の中に出来上がっていた「日本は厳しい」「日本は鎖国している」というイメージが覆っていきました。
今は逆に「日本はぬるい方だ」という印象を持っています。(ビザだけでなく、社会保障へのアクセス含めてですが)
実際には「厳しい・ぬるい」と一言で片づけられるようなものではなく、比較する国によって、さらにはどんな外国人なのか(どんな仕事なのか・どんな事情(結婚とか)なのか、お金はあるのか、どれだけ投資してくれるのか、学歴やスキルは?)・・などなど、重視するポイントによって、厳しさの強弱は色々だと思います。
タイの外国人に対する制度(主にビザや労働許可証)を学びながら、日本のビザ制度(在留資格制度)も時に比較し、掘り下げていければと思います。
Author
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aroi行政書士事務所 代表行政書士(東京都行政書士会所属)
アジアランゲージセンター(株) 代表取締役
群馬県渋川市出身
大東文化大学国際関係学部(タイ語選択)卒業後、タイ・バンコクに2年間駐在
日本語教師・日本語学校事務(留学ビザ手続担当)を経て2009年10月行政書士登録
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